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藍染めとインディゴ染め

こんにちは。今日は藍で染めるお話しをしたいと思います。
とは言えワタクシ日傘屋なので染めに関しては詳しくはありません。聞きかじり体験かじり。

でも「藍染の日傘張りました。ハイ出来上がり!」では全然お伝え不足。丁寧にお仕事してもらっているので、染め体験での写真など混ぜこぜですがお伝えできたらと思います。

まず最初に私たちがよく耳にする『天然藍』と『インディゴ』どちらも藍染と呼ばれていますが「どう違うの?」ってお買い物する時など疑問に思いませんでしたか?

藍染はそもそも植物の中のインディゴ成分を使って染めている染物のことを藍染と呼ぶんだそうです。パラソラで染めをお願いしている『藍染工房壺草苑』さんは【蓼藍(たであい)】、『琉球藍染工房』さんは【琉球藍】と、違った植物を使って染めています。同じ藍染でも植物が違うんですね。初めて知りました。そしてそのインディゴの成分を化学的に作ったのが【合成染料】の『インディゴ染め』です。

わかりやすいところでは一般にジーンズを染めているのがインディゴ染め。不純物がないので安定的にムラなく染められて、大量生産に向いていたため工業製品として主流になりました。


一方天然藍は藍の葉を発酵させて作った蒅(すくも)や灰汁(あく)など、微生物の働きを利用して染めます。どの甕でどのぐらいの時間染めるのか見極めながら染めて行くので職人さんの熟練が必要です。(写真は青梅の藍染工房壺草苑さん)

藍染は生地を染め液に浸して色を染み込ませ、それを引き上げて空気に触れさせることできれいな藍色に発色するのが特徴です。

この写真は別の体験会で私が染めているところ。まだまだ緑でしょ。これが空気に触れると、きれいな青色に変わります。中央の少し青いところがあるのがわかりますか?生地を広げて青くなったら再び2回めを染めて繰り返します。次はもう少し濃い青色になって3回めを染めるともっと濃い青色になってと、染め重ねるごとにみなさんご存知の藍色になっていきます。染めて空気に触れてを何度も繰り返します。しかものんびりやってると染まり具合にムラが出るのでスピードも大事。

染め屋さんの現場は体育会系でテキパキ、体験でハンカチ染めてるのとは訳が違います。パラソラの日傘を1本作るのに1m、それもひとつづつデザインを変えて染めて、そのあと色落ちしなくなるまで水洗いして干してと、どれだけ手間をかけてもらっていることやら。

余談ですがインディゴ染めに比べて天然藍はほとんど色落ちしないんですよ。だからTシャツやブラウスも普通にお洗濯できます。「藍染って着てると青くなる」イメージがあったんですが「ジーンズ履いてると足が真っ青!」みたいなのはインディゴ染めだったからなんですね。

柄を作るのも一つづつの手仕事です。この写真は体験会で私がやっているところですが、1mの生地分を全部絞ってから染めるまで、根気のいるお仕事です。そう思って出来上がりの日傘を改めて見ると、手仕事の積み重ね。なんだか幸せな気持ちになってきて大切に使おうって自然と思いますよね。

今の時代、ムラなく均一に、早く効率よく、そして安くできるのが選ばれて行くのはごもっとも。それでもわずかなムラや揺らぎ、手作りの温もりみたいなものがわたしは好きなんです。

効率の良い日傘に比べたら、どうしても敷居が高くなってしまいますが、間違いなく出来上がった日傘は美しくて「気持ちがいいなぁ〜」と思ってもらえると思います。

植物染料だからどうしても使っているうちに色はあせてくると思います。見方を変えれば馴染むともいうのかな。育てて行く楽しさとか、染め直して長く使える満足感とか、「丁寧に暮らしてるな〜自分。」って思えることとか、どこで誰が作っているのかわかっているからこその長いお付き合い。そんな物語ごと受け入れてもらえたら嬉しいです。

2020年6月8日