気が付けばすっかりご無沙汰で、前回の更新は2023年。「パラソラさん、もう辞めちゃってるの?」と思われてやしないかと、年末になって悪あがき、久しぶりのblog更新です。もちろん今年も作っていましたよ。なかなかご紹介できなくてごめんなさい。
さてそれでは早速いきましょう。今日ご紹介の日傘はこれぞ大人の日傘、大島紬からのご依頼です。どうです、素敵でしょ。
こちらの日傘、手元を変えて2種類の竹でお作りしました。パンと張った生地が見た目にも気持ちいいというか、潔さのようなものを感じます。
職人の仕事は『見て盗むもの』なんて話を聞いたことありませんか?「今時そんなこと言ってたら若い職人は育たない」とも思うけど、まさに今回のお仕事は教えてもらうことができない塩梅のお仕事。高価なお品なので失敗できないという気持ちも多分にあるかもしれませんが、出来上がるまでドキドキでした。
日傘作りを始めて、かれこれ1000種類以上は作っていると思うんですが、それでもまだ予想外に難しい生地があります。今回の生地もその一つ。目が詰んでいてキッチリ織られているので、バイヤス部分がほとんど伸びません。お着物だったらきっと型崩れせずに綺麗に着続けられるのでしょう。でも日傘となるとこの伸びを読むのが難しい。いつも通り裁断すると骨より生地が小さく仕上がって張れないという最悪のケースもありうるからなんです。
滅多にないことなのにこの日傘を張る前にもこうした生地が3本続き、ピンチ続きですっかり自信を無くしていたのですが、(そこもまた職人仕事のなせる技、奥の手を駆使して製品には仕上げていますけど)その勉強の甲斐あって今回は読み通り上手く張れました。
柄合わせのピッチもギリギリ無駄なく裁断できたので残りの生地でバッグや鼻緒をお揃いで作っても粋だと思います。大人の遊び心くすぐりますね。街中で知らない方から「素敵な日傘ね」なんて声をかけられる日も近いのではないかしら。想像するだけでも楽しくて今から暑くなるのが待ち遠しく思ってくれていたらいいなと思います。最近は暑くなるのも早いので、3月4月頃から使っていただけそうです。
なかなか仕上がり状態で購入するのは難しい上質な日傘、生地を準備してオーダーメイドなら手も届きやすくなります。眠っている反物から使える形になる楽しさもありますよね。年末の大掃除で思わぬお宝を見つけたら、眠らせておくのは勿体無い。ぜひ何か使える形に変えてあげてくださいね。実家の片付けも率先して頑張れちゃうかも。
日傘生活、楽しんでいただけたら嬉しいです。