生地をお送りいただいてからスタートするパラソラのオーダー日傘。普通のお買い物と違うのは、この送るというアクションを起こしてもらわないと始まらないという仕組みです。ちょっと手間のかかるお買い物ですが、これによって使う人と作る人の小さなやりとりが生まれるのがとってもいいことだと思っています。
今日の日傘はグレイッシュカラーの落ち着いた色合い。生地と一緒に可愛いワンちゃんのポストカードにメッセージが添えられていました。「さて、これから作る素材はどんなかな?」とワクワクしながら開ける包みは、いつもとっても楽しみなんです。でも最初に気になるのは「さてさてこの生地、ちゃんと日傘になってくれるかな?」ワクワクと違った意味でのドキドキで「よし!」と気合を入れて頭の中で1本づつ出来上がりをイメージし始めます。麻は難しいので特にドキドキです。オーダー表にはパーツを間違えないようにいろいろ書き込んで、小さな端切れを張ってこうして保存しています。このオーダー表とお客様のポストカードやメッセージを壁に張って製作中は何度も確認したりほっこりしたり。そして素敵な3本が出来上がりました。
製作中は素材との勝負感が漂っていて緊張しているので、出来上がるとほっとします。改めてポストカードをゆっくり眺めていたら、あらあら?この日傘たち、このカードから抜け出てきたみたいじゃないですか?物語の中から出てきたみたいに感じてしまいました。そうなると、妄想は果てしなく広がります。この日傘は物語の中のどんな人の持ち物だろう。若いお嬢さん?それともおばぁさま?学校の先生かもしれないし隣町からきたお客様かもしれない。いつの時代だろう、どこの国の人だろうと、発送までの間、物語を考えてずいぶん楽しい時間を過ごさせてもらいました。
ご注文いただく1本1本にも、こんな風に物語が詰まっているのかもしれませんね。今日はカンカン照り。今頃新しい日傘で新しい物語が始まっているかもしれません。