月別アーカイブ: 2017年3月

職人仕事

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トントントンと微調整。寒竹の露崎は自然素材なため、大きさや太さが不揃いです。そこでこうして手元をつける前に微調整しています。こういう作業をするかしないかが出来上がりの見栄えにも影響してきます。

傘作りに木槌、意外な組み合わせですが結構木槌の出番はあるんですよ。時々しか使わない使い方もあるんですが、そうした技はなかなか教えてもらえるものでもなくて、そんな場面に出くわした時に初めて、思い出したように使い方を教えてもらえるんです。もちろん、自分で工夫して使えるようになればいいんですけどね。そんな工夫の引き出しが多いほどベテランの職人さんと呼べるのかもしれません。

そして、そんなベテランの職人さんだったら出来たかもしれない、私には出来なかったお仕事。傘の形には仕上げました。そこは意地でもなんとか。ただ仕上がりが納得いかなかったので残念無念。

IMG_1415この生地すごいでしょ、二枚の生地の間に糸が挟まっています。モアレが面白い表情を出しています。こんな布が織れてしまうんですね。

正直、生地を見たときから傘に出来ないことはわかっていました。なので普通にご依頼いただいたら絶対ハサミを入れる前にお返ししますのでご安心くださいね。ただ今回は繊維メーカーさんからのご依頼。ダメ元で作ってみてとのお言葉で、チャレンジして見ました。が、思ってもいないところで挫折です。傘は特殊なミシンで縫製するので得意不得意があるんですが、こんなにも縫えないとは。結局奥の手を使って仕上げました。

前に染め屋さんとお話ししたことがあるんですが、素人でも染めることはできますよね。染め液に入れたら出来上がる。でもそれを仕事とするには速さと正確さが求められます。そう、熟練が必要。絞る専門家、型を作る専門家、染める専門家。傘も同様、素人さんでも1日かければ作れますが、なかなかそれでは仕事にはなりせん。特殊なミシンや型を使って結構なスピードで作ります。なので、大概職人さんにイレギュラーな仕事を依頼するとまずは「そんなものは出来ない」と断られるのが落ちなんです。職人さんは気難しいと思われてしまうところ。

でもね、職人気質というのは試して見たいんですよ。作ってみたい。こうしたらできるかも、こんな方法でやってみたら、と断わりながらも頭の片隅で考えています。だけど仕事にならないものを請け負う余裕はありません。なので一言「できない」となるんですが、信頼できる人との仕事なら、隙間のある時間なら、チャンスがあれば本音は試してみたいと思っています。この生地もそんな試してみたかった生地。だから上手くいかなかったにもかかわらず、こういう縫製方法あったかもと時々今でも頭をよぎります。

2017年3月30日

手作りだからこんなことも

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今日の日傘はタンザニアの生地から。お客様のご希望で生地の耳部分の文字を入れて作りました。面白い試みですよね。こういうアイデアこそ傘屋さんからは絶対出てこないのでオリジナル感たっぷりです。今までお使いの傘ではボタンかけに苦労されていたようで、ボタンの付け方や、日傘の持ち手の重さなど、実際に手にして注文できないのでご心配だったようですが、出来上がりをお届けすると、どちらも問題なしでとても喜んでいただきました。

それどころか「晴れの日を待ちきれずに撮影しました!」と素敵なお写真も送ってくださいました。もう梅が満開なんですね。お花に誘われて待ちきれなかったのかな。嬉しいです。💕

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そうそう、紫外線を気にされるなら曇りの日こそ、実は日傘さした方がいいんですよ。海へ行っても陽が射していないからって油断していると帰りに真っ赤になったりしますよね。私も若い頃痛い目にあいました。忘れもしません、プールサイドでうとうとしてしまったために、帰りの電車で熱が出たのかと思うほど酷いことになって、それから曇りの日の紫外線実感しています。

なのでUV加工を気にされるなら曇りの日にも差してくださいね。因みにパラソラの日傘はUV加工していませんが気になる方はスプレーしてください。素材に特殊加工していない限り、UV加工してある日傘でもUVカット効果は一年程度だそうです。昨年の日傘も使う前にスプレーしておくと安心ですね。

2017年3月28日

モダンな日傘

クラッシックな日傘を作りたいと思って、昨年お試しのつもりで職人さんに作ってもらった、まっすぐな手元。私が思っていたよりもずっと人気があって、あっという間に品切れになってしまいました。さて今年はどうしたものかと思っていると、お客様から「いつ入荷しますか?待ってます。」とご連絡いただいて、慌てて今年も作ってもらいました。

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ネットショップでは、なかなかお客様の表情まではわからないので、お店に並べていても気に入ってくださっているのか、ふ〜んと通り過ぎてしまわれているのか、なかなか計り知れないのですが、きっと次の夏のために日傘作ろう!とデザインを思い描いて、生地を探して、楽しみにしてもらっていたんですね。入荷を何ヶ月もお待ちいただきました。送られてきた生地をみて、あまりにぴったりのデザインで、これは待って頂いた甲斐があったなと、作る前から出来上がりが楽しみでした。シンプルなのにインパクトがあってタッセルの黒が全体のバランスを引き締めてくれています。生地を見つけた時から日傘のデザインが思い浮かんでいたのでしょうね。理想の日傘作りのお手伝いができて嬉しいです。

2017年3月27日

日傘自慢⁈

やっと出来上がりました。サボテンの日傘。

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糊置きの状態からは反転されるので印象も変わりましたかね。サボテンの方に色が入っていた方が良かったかしら?何となく地色の方に色が入っている方がいいかなと思って作ったんですが、白と色のバランスを半々ぐらいにしたかったので、結果どちらでもよかったかもですね。もう一色青系でも作ろうと思います。

写真で見てわかってもらえると思いますが、デザインはゆるいんですが仕事するところはしっかりしています。まず骨の曲がるところに生地を挟んでいます。これはサビが大切な生地に出ないように。雨傘ではだいたいはさんでありますが、市販の日傘ではこの生地があったりなかったり。それからつまんで指が当たる所、ツツミというお仕事しています。これはお安い傘ではほとんどしていません。逆に高級品を作る職人さんの仕事は素晴らしく整っていて美しいです。

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外側ではてっぺんのところ、飾りを巻いています。ここも雨傘みたいに金具が打ってあるだけのもの多いですよね。パラソラは手縫いでひとつづつ飾り仕上げしています。それとタッセル代りのボンボン。こちらも手縫い。なので実はこう見えて行くところへ行ったら高級品仕様なんですよ。

ただパラソラの場合、工具をあまり使っていないので工業製品としてはイマイチですね。手縫いの服は家着みたいと感じる人もいらっしゃると思いますが、着物なら?そう手縫いが高級品。大量生産で型抜きしたパーツをミシンで縫って均一に仕上げるのを良しとするか、一つづつ手で裁断して縫うのを良しとするかは使う人次第でもあります。パラソラの日傘も手作りな分、同じものを規格通りにピッタリと揃えることは難しいです。逆に言うと1本ものを作るのには適しています。多少型が合わなくても調整して作れてしまう。

この間NHKの100分de名著でやっていた『野生の思考』の回見ましたか?設計図通りに作る建築家の家に対して設計図もなしに改良を重ねて作り上げる家のような事を言うそうなんですが、あり合わせの材料でその時の最適なものを作り出す野生の思考はこれからの時代大事なんだそうです。まさにパラソラ的。と欠点も利点と捉えて手作り続けていますが、本音は1Fに工房があったらバンバン音立てて型抜きしちゃいます。だって手で切る作業は数があるとすごく大変なんですもの。だけど測っていないのにピッタリ出来上がるようになったら早いしほんとカッコいいですよね。

2017年3月17日

今年の日傘

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こんにちは。パラソラのnokoです。
さて、少し間が開きましたが、今年の日傘、型ができて来たのでいよいよ染めて来ました。と言っても染めたのは少しだけね。少し染めただけでクタクタというヘタレなので続きは職人さんに染めてもらおうかと思います。でもこれ、自分で糊置きしていますよ。結構力仕事。写真は染めたところじゃなくて糊でマスキングしてるところです。白いところに色がついて色が付いているところが白くなります。

そうそう、デザインは初お披露目でしたね。このゆるゆるな感じがパラソラ好み。未来型マンションみたいでしょ?いえいえ、それでもいいんですけどサボテンのつもり。ウチワサボテン。まぁるくて平たいのがどんどん増殖していくようなよく見かけるサボテンです。調べると棘があったりなかったり、つぶつぶしてたりデコボコしてたりスジだったり。色々な種類があるのでホンモノにはこだわらず自由に楽しい感じにしてみました。

最近、サボテンが流行ってるんですね。人気のサボテンは買うのも凄く大変なんですって。何時間待ちで並ぶ人もいるとか。見たことないような膨らみ方をしていたり透明感があるものもあって、確かに見てると欲しくなります。小さな器に小さいのがいくつも並んでいるのもとっても可愛いし、種類が豊富で眺めているだけでも面白いですね。サボテンなら水やりも楽そうだし育てられるかなと思っていたら、風水では尖ったものは家の中で育てない方がいいんだとか。そうなるとベランダに置く訳ですが、外に置いた途端、お世話さぼりそうです。観葉植物でも枯らしてしまう人なので、そういえば最近全然グリーンを置いていないことに気が付きました。いけませんね、余裕のない暮らししてるのかも。そろそろまた何か置きたいなと考えていたからか、ちょっと気になっていたサボテンが日傘のデザインになりました。サボテンだからお日様とも相性良さそうですし、たっぷり水を蓄えてると思うと見ているだけでも暑さを乗り切れそうじゃないですか。

さて次はいよいよ日傘に仕上げて更新の予定です。

2017年3月12日