月別アーカイブ: 2017年9月

氷山の一角⁉︎

まだまだ暑い日も続いていますが、日傘のシーズンも一段落したので、そろそろ来年に向けて動き出したいな。なんて思っている今日この頃ですが、その前に大事な仕事をまずは片付けなくてはなりません。

積もり積もったアレヤコレヤを綺麗さっぱりしたい。もうずーっと悶々としていて今年の夏は限界間近でした。スタートするつもりもなく何となく始まったパラソラの傘仕事。心の準備もないままに走ってきたので、色々なけじめがついていませんでした。とにかく両手いっぱいに持ちきれなくなった荷物を降ろしたい。そんな片付け真っ只中のつぶやきblogです。どうぞお暇な時にでもお付き合いくださいませ。

ジャガジャーン。こちら、片付けを難しくさせる氷山の一角。(^^;
50年ほど前の、いわゆるヴィンテージと呼ばれているバービーちゃん。真ん中で帽子をかぶっているのはミニの女王ツィッギーです。朝ドラのひよっこにも登場していたので若い人でもご存知だと思います。着せ替えもあるんですよ。もちろんミニスカート。このショートヘアの人形を一目見た時からはまってしまいました。それまでは人形でショートヘアなんてみたことなかったですから。オークションの存在を知ってからというもの少しづつ少しづつ、英語もできないのにebayで探してきました。間違ってもコレクターではないんです。コレクションしたいわけではないんです。と言いながら、バービー以外の人形も数を持っているのでまずは自覚することから始めないといけませんね。

巷では断捨離や実家の片付けなど、片付けブームですよね。わかりますわかります。20代や30代の片付けではモノが溜まっていると言っても大したことありませんでしたが、忙しい40代を経てふと気づくとえらいことになっていた。という感じなんです。趣味や興味の幅も広がり、仕事や人との繋がりも広がり、それが家の中にも広がってしまっている感じ。捨てられずに溜め込まれているものって、歩んできた道なので服やバッグ、食器、音楽、ぬいぐるみ、本、子供の絵など溜まる要素いっぱいですものね。我が家は子供がいないのに、それでも思い出いっぱい、趣味いっぱい。

私の溜まりもののイメージには断層ができていて、一番下に子供の頃の絵や日記などなど紙もの。その上の層は年代が進んで結婚のお祝い品や引き出物、その上にCD、旅の写真、趣味で集めたお人形、その関連で古いファッション誌、手芸材、画材、関連の専門書、大きな絵の数々、そして傘の材料に大量のハギレ。もう持つものが多すぎて気持ちが潰れてしまいそうでした。しかも歳を追うごとに重くてかさばるものになってくる。(笑)この層を薄くするのか層ごと無くすのか。大変な作業です。

さてそうして始まった片付けは、マニュアル通りまずは玄関、洗面、キッチンの片付け。玄関や洗面は意外に簡単に処分できました。でも全部を一度ではできないので、無理せずくたびれた靴とシーズン中履かなかったものを処分。他を片付けているうちにだんだん頭の切り替えができるようになってくるので気楽に始めるといいかもです。そして買ったばかりなのに履かない靴を思いきって靴棚から除外したら見違えるほど快適になりました。これをきっかけに頭の切り替えが進んで来る感じです。片付けと言うよりは脳を諭していく感じ。(笑)きっとこれが片付けのコツですね。この小さな成功体験。除外した靴も誰かにあげられればいいのだけど、少し時間をおいて履けそうな人が思いつかなければ捨てる。捨てるとき少し罪悪感があるものの見えなくなると案外思い出しもしませんでした。

本とCDは近所の古書引き取り店さんにお願いしました。

ざっとCDだけでも200枚以上。これはネット上で読めたり聴けたりできるようになったおかげで夫が随分協力的。5年前には手放せなかったものもごそっと処分できました。混乱の中で生活してると同じ本が2冊あったりね。引き取り屋さんにも、この大量の本どこにしまってあったんですか?と聞かれるほど、どう見てもキャパを超えてました。ここでやっと部屋が機能してきたので次の段階、上手にしまってあるものも引っ張り出して捨てることにします。今でも見切るのは大変な仕事、実家の片付けの心配するより先にまずは自分の片付けからですね。それでは今日はこの辺で。まだまだ続き片付けます。

2017年9月27日

書の日傘

また夏をぶり返したような暑さになりましたね。でも風が爽やかでやっぱり秋の気配感じますね。
日傘作りをしている埼玉の仕事場でも今日は虫の音がセミからコオロギに変わりました。

今日ご紹介するのは書の作品から仕立てた日傘です。
生地の使い方、面白いですね。こうして色々な生地を組み合わせるのはとても新鮮です。
案外難しいと思うんですこういう組み合わせ。センスが良くないと賑やかな傘になってしまいがちでお子さんの雨傘っぽくなってしまうんです。その点素材の良さと色の美しさでとても上品な仕上がりになりました。

そして、何と言ってもデザインの中心は『書』の部分です。
すご〜く考えちゃいました。お任せいただいたのでいわゆる緊張とはちょっと違う緊張感。
黒い生地の中央に筆文字とドリッピングの入った素敵な作品をお預かりしました。でも三角のコマの中にどうにも収まらない。そうなんです、そこで、どうトリミングするかがとっても重要なんです。上の方にいい感じのしぶきがありまして、そこを使いたい。でも文字も読めるところまでキープしたい。

最初文字の下の方に空間をとって底辺を裁断していたんです。でもそうすると草冠が切れてしまって草冠に見えないかもしれない。文字のどこをどこまで隠して文字として認識できるのか。とってもビビリなもので、あと1センチ上にしよう、もう1センチ上でも大丈夫。と下の方少しづつ裁断して行ってこの構図になりました。少しはみ出すぐらいがダイナミックで素敵だと思うんです。

こういうトリミングをする時にいつも思い出すのが意外にも日本の絵巻。『信貴山縁起絵巻』という絵巻物がありまして、細長い絵巻の中で右から左へとお話が進むんですが、絵がその幅に収まらず上へ下へとはみ出しながら展開して行くんです。でもそれがとっても躍動的で、絵巻物なのにアニメーションのような大きな場面を想像できる。気になる方は検索して見てくださいね。この文字にもそんな風に傘の中に収まらず自然の中へ飛び出して行って欲しいなと思いながら作りました。

お客様もとても喜んでくださってもう一筆加えたくなったとのことです。仕上げはどんな日傘になったんでしょうね。想像するのもまた楽しみです。

2017年9月13日

着物から新たなデザインへ

今日の日傘はシルクのお着物からオーダーいただきました。そしてとってもとっても喜んでいただけた日傘なんです。

大切にお召しになっていたお着物を形見分けにとのご注文でした。事前の打ち合わせで「通常お着物からは2本作ることができますよ。」とお話ししていたのですが、「帯で見えなくなる部分で繋ぎがあり生地が足りないかもしれない。」とご相談。大切な形見のお品、別の生地を足して2本に仕立てることになりました。

グレーの無地の縮緬と合わせます。せっかく2本作るので、選ぶときにちょっとでも迷って楽しんでもらいたいなと少し繋ぎ方を変えています。どちらもとっても素敵なので、「どっちがいいかなぁと、自分だったら絶対迷う。」なんて考えながら仕立てました。素材の違いは生地同士の相性が心配でしたが無事、素敵なアクセントになりました。お客様にはもちろん喜んでもらえたのですが、リメイクでびっくりされたのは実は生地使い。送られてきた生地を見た途端から、疑いもなくこういう風につなぐものと疑いを持っていなかったんですが、柄のあるグレーの生地、なんと裏なんだそうです。∑(゚Д゚)

写真の通り日傘の裏は白地と可愛い黄色の花柄になりました。もちろん作る前に裏表の確認はしていますが、なかなかお話が伝わらず、写真を見ながらのご説明で、やっと私が裏表を逆に繋ごうとしていることに気づかれたそうです。そのぐらい思いもよらなかったそうで、出来上がりを見て大変喜んでくださいました。着物のことを良く知らないからこそが、吉と出ることがあるんですね。思い出のお着物は、日傘の内側できっと優しく包み込むように見守ってくれていることと思います。

2017年9月6日