麻の日傘を作る

麻の日傘、触り心地が良くて気持ちいいですよね。昔は麻は高級品のイメージでしたが最近は普段使いの麻も増えてきて、使い込むうちに馴染んでくる感じ、私も大好きです。今日は麻の生地を日傘に張る話し。

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パラソラでは「目の粗い生地は日傘に向きませんよ〜。」といつもお伝えしていますが麻もそのひとつ。目が粗い生地だと傘の一コマ、三角の斜めの部分がバイアステープ同様に引っ張られてぐ〜んと伸びてしまいます。その結果、普通に張ると写真左のように波波に。この波打ちを修正したのが右側。もう少し修正したいところですが、目の粗い生地は裁断した端が解くたびにほつれてきます。触るたびに伸びても来るので伸びとの追いかけっこ。なので、一本物のオーダーではここで仕上がりとなります。

実は写真の日傘はネルのように柔らかい生地でした。ネルもくせもの。使っているうちにどんどん伸びてくることも。伸びると骨よりも生地が大きくなるのでぶかぶかになって自然と骨から外れてしまいます。

普通に張るとーーーこれは型どおりに作るということですが、人間の服でも一人一人に身体に合わせて補正が必要なように、傘も骨と生地の相性によってシワの出方がいろいろです。その修正を1つ1つ経験で覚えていくのが職人の仕事です。なのでたくさん作ってたくさん型どおりいかないことを経験してこそ一人前。よく50年たってもまだまだまだなんて職人さん達はおっしゃいますが、それだけ沢山の経験があって難しいことがあるということを知っているんですね。

麻の日傘、作る前にこれは大丈夫ですか?とご質問いただくこともありますが、ハッキリやめたほうがいいものはわかりますが、あとは張ってみないとわからないのが今の私のスキル。難しいと思ったものが思いのほか綺麗に張れたりまだまだこれから経験を重ねる発展途上中です。