月別アーカイブ: 2018年6月

藍染の日傘

今日の日傘は琉球藍染工房さんの藍染の日傘。最近ちょっとわかるようになってきてるんですよ、どうやって染めたのか。これは板締め。そういうことが分かってくると生地が届くのが楽しみになります。一枚の布をどんな風に染めようかと時間をかけて染めているので少しでもその手仕事を感じながらお仕立てしたいなと思ってます。

板締めは生地を折り紙のように蛇腹に折りたたんで板に挟んで染める染め方です。たたんだ生地を広げてできる万華鏡のような面白さが特徴です。この日傘はそんな板締めと無地が帯状に交互に染められていました。こういう染める時の組み合わせで沢山のデザインが生まれてくるところ、おもしろですよね。そしてここから日傘用に裁断すると、今度は三角にカットされ繋がれてまた一段と柄が複雑に絡み合います。大体は想像できますが、きっと染めた人も日傘を作った私も、みんな出来上がりを見てわぁっと思うデザインに仕上がっているんだと思います。

去年からこの板締めが面白くって、染め屋さんのワークショップで何枚も何枚も染めさせてもらったんですが、それでもまだまだ染めたくなってしまうので、そのうちパラソラでも板締めの日傘販売できたらなぁと思っています。それぐらい板締め染めるの楽しいんですよ。

今日ご紹介の日傘は5月ごろに作ったものなのでもしかしたらもう完売してしまったかもしれませんね。今年琉球藍染工房さんの日傘大人気です。

2018年6月23日

チェックの可愛い日傘

今日の日傘は可愛らしいチェックの日傘。洋風なイメージですが『正絹の反物』から作ったオーダーメイドです。お祖母様の形見のお品だそうで、「古いもので日傘になってくれるか心配です」とお手紙いただきましたが、このまま着物になってもとっても可愛らしいんじゃないかしらと思える綺麗な反物をお預かりしました。反物の場合、おおよそ2/3反ほど残るので、お揃いのブラウスなんかもできるかもしれませんね。つるっとしていて夏とても気持ちがいいと思います。

実は一目見た時から、優しい色合いにとっても惹かれて作りたくてそわそわしていた生地なんです。作っている間も、懐かしい香りに包まれて楽しい仕事でした。香りは脳を刺激しますね。昭和の色んなことを思い出しました。母の鏡台の前に座って口紅を顔いっぱいに塗った日のこととか。(笑)

さて、こうしたチェックの反物は、機織りをするときに縦糸に横糸を渡してバタンバタンカッカッと布を織って行くときの緯糸の織り具合で一反の反物の途中でもピッチが少しづつ変わることがあるそうです。ぐるりとラインが繋がった日傘のデザインももちろん素敵ですが、こうしてアクセントが生まれるのも反物の特徴なのでオーダーメイドの日傘ならではの面白さじゃないでしょうか。眺めていると機織り機の働いている姿まで想像できて愛おしさ倍増です。

2018年6月20日

美しい線が印象的な個性的な日傘

雨が降っているので、追い立てられるように作っていた日傘作りも一息ついて、久しぶりにオーダーメイドの日傘をご紹介します。

今日の日傘は書家のお客様から。ステキな作品と柿渋で染めた生地が送られてきました。トリミングはおまかせでとのこと。…………とはいえ、かなりの難題です。この一枚の生地から傘のコマである三角を2枚切り出さなくてはなりません。かなりの時間考えましたがどうにもこうにもいい案が浮かばない。どうやってもこの綺麗な線が裁断されて上手く活かせそうにありません。写真はエイやっでまずは半分にカットしたところです。これもね、かなり微妙です。どこで裁断するか1センチ、いいえ、5ミリ、3ミリの攻防。

こうして裁断しちゃったからには進むしかありません。それでも往生際が悪く、この時点でもどこを使うかトリミングを随分長い時間悩んでます。

実はご相談時点で金魚を入れるのは無理ですとお伝えしました。せっかくの素敵な作品、日傘以外のものを作ってはいかがでしょうかとも。それでもやっぱり日傘にとのことで、それならば思い切って作品のリズムを日傘にしましょうということになりました。何となく三角の形が見えますか。どんな風に裁断するのがベストか一緒に考えてみてくださいね。あとは三角にするだけのように思いますが、底辺をどちらにするか悩むんです。そして金魚に至っては本当にどうしましょう〜。

で、こうしました。縫い代があるので傘になるとまた一回り小さくなって見え方が変わると思うんです。線の美しさを感じられるギリギリのギリギリってどこ?な感じでドキドキの裁断でした。

柿渋染めの濃淡からも空間を感じてもらえるように配置して、出来上がったのが写真の個性的な日傘。金魚がゆったり泳いでいるのが見え隠れするような水の中を感じてもらえたら嬉しいなと思います。

2018年6月6日