月別アーカイブ: 2017年6月

朝顔の日傘

前回のblogでもご紹介しましたが、型を作って日傘を作るのはなかなか根気のいる仕事です。行程の中でも特に経験が必要な部分かもしれませんね。パラソラの通常の日傘づくりでは裁断から始まって、微調整でサイズを合わせるということをしています。最初の頃はこれが何度も直すことが多かったので1日に一本しか張れなかったなんてことも多々ありました。今は最初の縫製である程度調整しながら縫ってしまうので格段に作る時間は短縮しています。仕上がりも大抵のものは察しがつくようになりました。

そんな技術的なこととは別に、出来上がってみたら想像を超えている。という嬉しい驚きがあることもあるんです。それが今日ご紹介の日傘。

朝顔柄の日傘です。生地を受け取った時はすっと朝顔が一本伸びているシンプルなデザインだったので、出来上がりもきっとスッとした日傘になるのかなと思っていたんです。裁断では数少ない朝顔の花を活かせない部分があって残念で、出来上がり寂しくなっちゃうんじゃないかしら。と思いながらも、これしか裁断のしようはないし、お花があまり入れられなくてお客様、がっかりされるかなと少し心配だったんです。

ところが骨に張って広げて見たら「何ということでしょう〜。💕💕💕」もうびっくりですよ。すごく可愛い。そして、写真ではお伝えできないのが残念ですが、さしてみると想像をはるかに超える可愛らしさに包まれました。「え〜ほんとぉ?」って思わず言ってしまったぐらいびっくりです。何でしょう、日本人の血がそう思わせるのか、乙女心に火がついたのか、何せ可愛いんです。

もしこれを想像して生地を送ってくださっていたとしたら、そうとう「お目が高い!✨」。あっ、このフレーズ、ワサビ・エリシさんでの展示中、誰かが素敵ポイントを指摘するたびに使って盛り上がっていた褒め言葉なんです。みんなが何となくみているところに素敵ポイントをポンと発見してしまうと、「ほんと、それ素敵だわ。」となって「お目が高い。✨」ぴったりな言葉ですよね。ちょっぴりお笑いのネタのように口を揃えて連発していましたけどね。女子ってそんなもんですよね。(笑)

こんな風に生地で見るのと立体にするの、そして中に入って包み込まれる感じ。その時々で生地のイメージが変わるところは面白いですよね。そんな体験をしてしまうと、また作ってみたくなってしまうのも日傘作りの魅力です。こちらのお客様もリピーターさんです。そういえば前回も「その手がありましたか」っていう素敵な日傘をオーダーしてくださっていました。

日傘の張り替え

今日は日傘の張り替えのお話です。パラソラで扱っていない初めての骨に張るのがどんな風に難しいか言い訳がてら?作る行程を楽しんでもらえたらと思います。今回はとても大切に使われていたレース付きの日傘を張り替えます。

まずは生地を裁断。と、その前に今回は型がないので骨の数に合わせて型を作ります。型といっても用服と違って三角一枚だけ。しかしこれが結構大変です。洋服で言えば身体にぴったりフィットさせる。そんなイメージなのでユルッとしていてはまずいんです。

厚紙のおおよその型ができたところで一本試し張り。生地が小さくて入らないといけないので試し生地を張ってみます。

微調整が必要ですがサイズはOKのようです。10本骨は初めて作るので、次は木型を作ります。木型は木を切ってカンナかけて釘打って。木型ができれば後は直裁断ができるので10枚の三角をサクサク裁断します。そしてレースをつけて繋いで骨に再び張ります。

今回ご依頼の生地は麻素材に裾レース。どちらも一回で張るのは難しい素材で、おまけに傘のミシンに通らないので縫い方に工夫が必要です。今回は兎に角張ってくれればと、ある程度お任せいただいているので、ここは思い切って型通り張ってみましょう。レースは一度湯通しします。

本張り。

ジャーン!そしてガーン!( ̄◇ ̄;)予想はしていましたが予想以上のたわみ。試し張りの黒い傘と同じ型を使ってもこんなに張り具合が違うんです。レースはピンと張れているのに麻はタプタプ。これはかなり修正が必要そうです。とりあえず一部解いて縫い直します。

そして修正1回目。

だいぶたわみが取れています。でももう少し取りたいところ。ただ麻はやり直すたびにほつれてくるし伸びてしまうのと、レース部分も解くことが困難です。いつものオーダーではこの辺りで終了しますが今回はレースとのつなぎ目にも問題あるので直した方がいいという判断。

修正2回目、一部解いて縫い直しました。しかし修正してもまだダメなので、今度は一部ではなく思い切って全部解いてアイロンをかけて裁断からやり直します。

修正3回目。

ジャジャジャーン。どうですか?張りはよくなりましたよね。でも残念なことに裏があまり綺麗じゃないんです。傘の仕上げは服と違い繋ぎは切りっぱなしなので何度も縫い直したためほつれが目立って来ました。でもこれ以上の調整は悪化しかねないので限界です。ということで結局このまま最後まで仕上げることにしました。骨と生地を留め付けて、ボタンを付けて完成です。

でもやっぱり…
これでは納得行かないんですよね。お客様、とっても大事にされていた日傘なんです。きっと新しい傘も大事に使ってくれると思うんですね。そう思うとこのままお渡しするわけには行かなくて、解きたい気持ちと、やり直して悪くしたくない気持ちが戦って全然眠れない。シーズンオフならいざ知らず、あまり時間をかけると他のお客様の仕事も遅れてしまうし。

この辺りからですよ。朝ドラ『ひよっこ』のみね子ちゃん口調の茨城弁で心が呟くようになったのは。「直していたらいつまでたっても仕上がらないんじゃないのかなぁ。(;´д`)」「この仕事を引き受けたのは無謀だったんじゃないのかなぁ。(◞‸◟)」と。いやー悩みますよほんと。「でも直しますよねぇ。納得いっていないんだから。」茨城弁炸裂です。

生地変えます。✨朝一で決めました。そうするとまた調整から始まってしまう可能性もあります。しかもレースの湯通しからやり直しです。でもあと1日だけ。生地を変えれば大丈夫と言うカンを信じて、解くコツもつかんできたので、一から作り直します。

修正4回目。露崎付けも試し張りから数えて50個目。

ジャーン!今度はいいんじゃないですか?ちょっと張りがきつめです。でもレースが伸びて露崎が外れてしまわないように。良いと思います。シルエットも綺麗です。素材は綿、さすがにパリッと張れました。

生地を見極めるのも、新しい型で作るのもまだまだ修行ですね。麻もレースも市販品の日傘には良くありますがオーダーでは言葉通りの一本勝負。麻と一口に言っても日傘に向いているものを見極める必要があることが実感できたお仕事でした。発送を終えるとホッとして脱力状態。_| ̄|○   はぁ〜でき上がっていかった〜。もちろん茨城弁です。(^.^)

そんなひと仕事終えた感の夜、別のお客様からメールが届きました。お届けしていた日傘に大喜びしてくださっていて、お嬢様の喜ぶ笑顔のお写真まで。先までの緊張していた仕事から一変、ご褒美いただいた気分でした。こんなこともあるから報われるんですよね。ありがとうございます。

ヨシッ、切り替えて遅れた分取り返しますよ〜。ピッチあげるのでお待たせ中の皆さま、もう少しお待ちくださいね!来週一週間はサクサク進む予定です!

版画家 藤村洋介さんの日傘


今日ご紹介するのは版画家 藤村洋介さんの日傘です。夏の間、中村風鈴店として懐かしい手売りの風鈴で涼を運んでいる藤村さん。6/20から東京での個展のためにと日傘をご注文いただきました。

この可愛らしい柄は元々は風鈴の短冊用に作った版画がもとになっているそうです。床屋ストライプですって。ネーミングも遊びゴコロがありますね。今回は柄向きを考慮して生地を横使いしています。横地使いは時々伸びてくることがあるんですが、こちらの生地は以前にも作ったことがあるそうなので、その点安心して張っていますが、念のためいつもより心持ちきつめに張りました。

中村風鈴店さん夏はこんなスタイルで風鈴を売り歩いてるんだそうですよ。

懐かしいですね〜。昔はこうした風鈴屋さんや金魚屋さん、竿竹屋さんにほおずき屋さんまでいろんなお店が売りに来ていました。パラソラのロゴも実はこうして街で見かけるアイス屋さんをイメージして作ってるんですよ。アイスクリンの冷たくて涼しいイメージです。最近は猛暑続きですけど、こうした団扇や風鈴で涼を感じる夏もいいものです。夕立の後涼しくなったり、銭湯へ行って浴衣を着せてもらってお祭り行ったり。楽しい思い出が蘇ります。

個展のお知らせをいただきましたので貼っておきますね。クリックで大きくなります。一番下には中村風鈴店さんに出会える手売りの予定表もご紹介しておきます。

一柳綾乃さんの日傘

この美しい日傘は………そうです一柳綾乃さんのデザイン。
水彩画作品を日傘にアレンジしています。美術館にあるモネやゴッホの日傘のような感じです。素敵ですね〜。涼しげで、この透明感のある空気にうっとりです。

さて昨日に引き続きどんなふうに日傘として仕上げているか、今日もちょっとご紹介しますね。
まず生地を日傘のサイズに裁断します。この幅にする前もですが、この段階でもどこを使うか考えます。面白いところ、見ていて飽きないところ、つい目がいってしまうところ、最もドラマチックなところを絞って、目測でどの向きで裁断するかを決めます。私が使いたいのは右端のブルーとピンクの混ざり合っているところと中央のお花、左下の黄色から赤、ブルーへの変化。そしてお花は首では切らない。これらを考えて型を置いて直接裁断して行きます。生地が足りなくなると困るので無駄なく裁断するため、かなり制約はあるんですが、左右どちらから始めるか、上下どちら向きで始めるかで使える部分が大きく変わってきます。責任重大。まさに作家とコラボしているような感覚です。

じゃーん。裁断できました。右下のブルーの部分は使えませんでしたが他は入りました。右から二番目のお花がないところも意外に大事なんです。だからここを少し左気味に裁断しているのはこだわり。一柳さんの作品で大切な空気を感じるところだからです。他のコマと関係なく存在してしまわないようにと考えての選択です。こんなことの積み重ねで1本の日傘が出来上がります。

先日ご紹介した作品展は大好評だったそうです。素敵な日傘を沢山オーダーいただきました。そして福井を皮切りに京都、静岡と巡回展を行うことが決定したそうです。楽しみですね。どうぞお近くの方はお出かけしてみて下さいね。案内状を貼っておきます。

クリックで大きくなります。

EMI SUZUKI さんの日傘

今日ご紹介するのはテキスタイルデザイナーの EMI SUZUKI さんの日傘です。
楽しいですね〜。本来は風呂敷なんですよ。触り心地がさらっとしていて日傘にぴったりなのは驚きです。オーダーのお問い合わせの時点で「どんな仕上がりになるかデザインを知る方法はありますか?」とご質問頂いたんですが、「正直、作ってみないとわかりません。」とつれないお返事しかできなくてごめんなさいね。言い訳と言ってはなんですが、なぜってこんな風に作るからなんです。

この2本の日傘は色違いの同じデザインの生地から作っています。風呂敷を半裁して1枚目は同じ裁断。そして2枚目は天地を変えて作ってみました。そうなるとつなぐ時もバランスが変わるので並びを変えていきます。だから、出来上がりも微妙に違います。どうですか、違いがわかりますか?

そんなわけで出来上がりを想像するのはとても難しいんです。そして裁断が5ミリ左右にズレても繋いだ時の印象が変わります。特にこういうデザインだと、もうどこがどこへ行ってしまったのやらで、出来上がりから逆算して同じものをと言われても私の頭ではとても難しいのです。それでも出来上がりはどちらも素敵でしょ。あまりコントロールしすぎず楽しんでもらうのが一番かと思います。

このポップで楽しい日傘は6/9から6/13、下記のギャラリーでお買い求めいただけます。ご興味ある方は是非お出かけしてみてくださいね。EMI SUZUKI さんは普段はフィンランドで活動されているんだそうです。だからこその綺麗な色使い。きっとほかにも沢山の素敵なデザインに出会えることと思います。案内状を貼っておきますね。

クリックで大きくなります。