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夏から秋の日傘

9月も半ば、涼しくなって過ごしやすくなりました。紫外線対策も怠りがちですが、まだまだ気をつけてくださいね。

紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを示したUVインデックス、気象庁によれば、9月の指数は中程度だそうです。『日中は出来るだけ日陰を利用して、長袖、日焼け止め、帽子を利用してください。』というレベルです。因みに3〜4月と同程度。暑くなり始める春はそれはもちろん注意していますよね、でも涼しくなる秋はつい油断しがち。うっかり日焼け止め忘れないように気をつけていきましょうね。そう言う自分が一番忘れると思うんですけど💦

さて、今日ご紹介の日傘は、さらりとした浴衣からお作りしました。真夏はもちろん、残暑にもぴったりのススキ柄です。落ち着いた色合いでステキな大人の日傘って感じ。しなやかな中にシャープさを感じるデザインは私もとっても好きです。そういえば昨日の月も見事でしたね〜。(ススキからお月見とお団子と兎に頭の中がすっ飛びました)🌝⭐️🎑

ところでこちらの日傘、実はまだまだ暑い真夏の時期のご注文。出来上がりは夏風邪をひいて外出もままならないというお客様の元へのお届けとなりました。「気分のすぐれないところへ素敵な日傘が届いて気分が晴れました。」ととても喜んでいただいて、元気になるとすぐに日傘をさしてお出かけされたようです。不調な時って身体のみならず気持ちも滅入ってきますものね。新しい日傘が気分転換に一躍買ってくれたなら嬉しいです。

秋の花粉も飛び始めた季節の変わり目、体調を崩しやすいのでどうぞみなさまもご自愛くださいね。そしてまだまだ停電が続き大変な思いをされている被災地の皆さまには心からお見舞い申し上げます。今回は友人もランタン生活を強いられ大変な毎日を過ごしているとのこと。何ができるのか分からず遠くから励ますばかりですが、一日も早い復興を願っています。

染物の日傘

先月の染めの小道でご相談いただいた日傘が出来上がりました。
大きな柄を二つ、小さな柄を二つ、長〜い反物をご自分で染められた反物からお作りしました。柄と無地を交互に配置しています。

染物ならではの素敵な色合い、大人の日傘にふさわしい落ち着いた仕上がりです。

こちらの日傘、スッとここに居りますが実はいくつもの行程を経て出来上がっています。せっかくなので今日は手仕事の尊さを少しだけご紹介しますね。

まず染める前にデザインを考えます。そして下絵を描き、糊を置いて色を挿していきます。と言っても紙に色を塗るようには行きません。Tシャツに絵を描いたり名前を描いたことがある方はわかると思うんですが、布に色を挿していくのはとても難しいんです。布の上は筆で描いても滑らないので、色のお水を一筆一筆染み込ませて染めていく感じです。

そして色を挿し終えると今度はその色を置いた所にロウでマスクをして背景になる全体を染め上げます。ロウを塗るのもロウが冷めるとすぐに固まってしまうので温めながら素早く丁寧にはみ出ないように筆を扱うのが難しいところです。一つ一つ慎重に積み上げていく友禅の技法、染物教室に通い始めてその価値がよくわかるようになりました。

そしてまだまだ続きます。最後に全体が染め上がった反物を高温で蒸しあげて、なんども洗ってから色止め。洗う作業も重労働。長い反物をたぐってたぐって糊を落とす作業を繰り返します。こうしてやっと染め上がった作品です。

お着物や帯になる道のりと同じように辿って出来た大切な作品をパラソラに託していただいています。もうそれはそれは責任重大。最初にハサミを入れるまで何度も確認して、それでもドキドキ。パラソラではハサミではなくて実際には包丁で直裁断します。だからなおのことドキドキ。包丁を研いでピッカピカにしてから作り始めました。

仕上がりはほんとに素敵。涼しいお顔で「日傘でございます。」と何事もなかったように凜としておられます。ご希望の木の露崎をつけて「思い通りの日傘に仕上がった」と喜んでいただきました。よかった💕私も一安心。そろそろ暖かくなってお出かけが待ち遠しい日傘になりました。

書の日傘

また夏をぶり返したような暑さになりましたね。でも風が爽やかでやっぱり秋の気配感じますね。
日傘作りをしている埼玉の仕事場でも今日は虫の音がセミからコオロギに変わりました。

今日ご紹介するのは書の作品から仕立てた日傘です。
生地の使い方、面白いですね。こうして色々な生地を組み合わせるのはとても新鮮です。
案外難しいと思うんですこういう組み合わせ。センスが良くないと賑やかな傘になってしまいがちでお子さんの雨傘っぽくなってしまうんです。その点素材の良さと色の美しさでとても上品な仕上がりになりました。

そして、何と言ってもデザインの中心は『書』の部分です。
すご〜く考えちゃいました。お任せいただいたのでいわゆる緊張とはちょっと違う緊張感。
黒い生地の中央に筆文字とドリッピングの入った素敵な作品をお預かりしました。でも三角のコマの中にどうにも収まらない。そうなんです、そこで、どうトリミングするかがとっても重要なんです。上の方にいい感じのしぶきがありまして、そこを使いたい。でも文字も読めるところまでキープしたい。

最初文字の下の方に空間をとって底辺を裁断していたんです。でもそうすると草冠が切れてしまって草冠に見えないかもしれない。文字のどこをどこまで隠して文字として認識できるのか。とってもビビリなもので、あと1センチ上にしよう、もう1センチ上でも大丈夫。と下の方少しづつ裁断して行ってこの構図になりました。少しはみ出すぐらいがダイナミックで素敵だと思うんです。

こういうトリミングをする時にいつも思い出すのが意外にも日本の絵巻。『信貴山縁起絵巻』という絵巻物がありまして、細長い絵巻の中で右から左へとお話が進むんですが、絵がその幅に収まらず上へ下へとはみ出しながら展開して行くんです。でもそれがとっても躍動的で、絵巻物なのにアニメーションのような大きな場面を想像できる。気になる方は検索して見てくださいね。この文字にもそんな風に傘の中に収まらず自然の中へ飛び出して行って欲しいなと思いながら作りました。

お客様もとても喜んでくださってもう一筆加えたくなったとのことです。仕上げはどんな日傘になったんでしょうね。想像するのもまた楽しみです。