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書の日傘

また夏をぶり返したような暑さになりましたね。でも風が爽やかでやっぱり秋の気配感じますね。
日傘作りをしている埼玉の仕事場でも今日は虫の音がセミからコオロギに変わりました。

今日ご紹介するのは書の作品から仕立てた日傘です。
生地の使い方、面白いですね。こうして色々な生地を組み合わせるのはとても新鮮です。
案外難しいと思うんですこういう組み合わせ。センスが良くないと賑やかな傘になってしまいがちでお子さんの雨傘っぽくなってしまうんです。その点素材の良さと色の美しさでとても上品な仕上がりになりました。

そして、何と言ってもデザインの中心は『書』の部分です。
すご〜く考えちゃいました。お任せいただいたのでいわゆる緊張とはちょっと違う緊張感。
黒い生地の中央に筆文字とドリッピングの入った素敵な作品をお預かりしました。でも三角のコマの中にどうにも収まらない。そうなんです、そこで、どうトリミングするかがとっても重要なんです。上の方にいい感じのしぶきがありまして、そこを使いたい。でも文字も読めるところまでキープしたい。

最初文字の下の方に空間をとって底辺を裁断していたんです。でもそうすると草冠が切れてしまって草冠に見えないかもしれない。文字のどこをどこまで隠して文字として認識できるのか。とってもビビリなもので、あと1センチ上にしよう、もう1センチ上でも大丈夫。と下の方少しづつ裁断して行ってこの構図になりました。少しはみ出すぐらいがダイナミックで素敵だと思うんです。

こういうトリミングをする時にいつも思い出すのが意外にも日本の絵巻。『信貴山縁起絵巻』という絵巻物がありまして、細長い絵巻の中で右から左へとお話が進むんですが、絵がその幅に収まらず上へ下へとはみ出しながら展開して行くんです。でもそれがとっても躍動的で、絵巻物なのにアニメーションのような大きな場面を想像できる。気になる方は検索して見てくださいね。この文字にもそんな風に傘の中に収まらず自然の中へ飛び出して行って欲しいなと思いながら作りました。

お客様もとても喜んでくださってもう一筆加えたくなったとのことです。仕上げはどんな日傘になったんでしょうね。想像するのもまた楽しみです。